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カナダ政府はNOC (National Occupational Classification) 2021年バージョンを発表しています。そして、このNOC 2021年版は2022年秋以降に実際に移民システムに導入されるようです。
NOCとは?
カナダに存在する様々な仕事をコード分けしているカナダ政府の職種分類が、NOC (National Occupational Classification) です。就労ビザや移民申請の際、申請者は自分の仕事内容に一番ふさわしいコードをNOCから選び、審査官もこのNOC記載の職務内容や条件をもとに審査を行います。
例えば、スキルドワークの職歴を使ってカナダへ永住権申請をする場合はエクスプレスエントリーシステムを使いますが、この時にNOCが活用されます。エクスプレスエントリーに登録する職種は、NOCでスキルレベル0、スキルレベル A、スキルレベル Bいずれかのカテゴリーに当てはまる職種であることを証明する必要があります。
NOCの見直し計画
NOCはカナダのあらゆる職業をカテゴリー分けし、カナダの労働市場の本質を理解したり、政府のプログラム運営、技能開発やリサーチをするのにも役立ちながら、移民プログラムや就労ビザプログラムを管理する意味でも非常に役立っているものです。
カナダ政府は、国内の経済や労働市場の変化に伴って定期的にNOCの見直しをするようにしています。NOC 2021年版も、カナダの経済を広範囲にわたって調査・分析した結果に基づいて、カナダ統計局と厚生労働省(ESDC)が今年9月に発表したものです。
現在、カナダ移民局(IRCC)、労働省(ESDC)、カナダの各州政府が永住権プログラムと就労ビザプログラムに使用しているNOCは、2016年版です。新しい2021年版は、2022年の秋以降に導入する見込みです。NOC 2021年版をすぐに導入しない理由は、新しいNOCがどのような影響を及ぼすか、永住権申請者も含めた関係者から広く意見を聞く期間を設ける為とのことです。
新・NOC 2021年版の変更点
NOC 2021年版が導入されるに伴って、以下のような変更点があるとされています。
- TEERシステムの導入
現在のNOCで使用している4つの『スキルレベル』から、6つのカテゴリーシステムに改定されます。この新システムはTEER(Training, Education, Experience and Responsibilities)と呼ばれ、トレーニング、学歴、経歴、責任のレベルに基づき職種の定義づけがされています。
これまでのNOCでは4段階のスキルレベルがあり、NOC Aは通常大学の学位が必要、NOC Bはカレッジ・専門学校のディプロマが必要とされる専門職業、NOC Cは中級のスキルやその職種に関連したトレーニングが必要とされる仕事、NOC Dはオン・ザ・ジョブ・トレーニング程度が必要な肉体労働というように分けられています。
- 5桁のコード使用
NOC 2021年版では、5段階の階層システムで職業を分けており、現在の4桁のコードではなく、5桁のコードとなります。
TEERシステム
現在のNOC A, B, C, Dという4段階のスキルレベルに代わり、TEERでは、0, 1, 2, 3, 4, 5という6段階のカテゴリーシステムとなります。 (参照:CIC News)
カテゴリー | 職務定義(Training, Education, Experience and Responsibilities) |
TEER 0 | Management occupations. |
TEER 1 | Completion of a university degree (bachelor’s, master’s or doctorate); or Several years of experience in a specific occupation from TEER category 2 (when applicable). |
TEER 2 | Completion of a post-secondary education program of two to three years at community college, institute of technology or CÉGEP; or Completion of an apprenticeship training program of two to five years; or Occupations with supervisory or significant safety (police officers and firefighters) responsibilities; or Several years of experience in a specific occupation from TEER category 3 (when applicable). |
TEER 3 | Completion of a post-secondary education program of less than two years at community college, institute of technology or CÉGEP; or Apprenticeship training of less than 2 years; or More than six months of on-the-job training, training courses or specific work experience with some secondary school education; or Several years of experience in a specific occupation from TEER category 4 (when applicable). |
TEER 4 | Completion of secondary school; or Several weeks of on-the-job training with some secondary school education; or Several years of experience in a specific occupation from TEER category 5 (when applicable). |
TEER 5 | Short work demonstration and no formal educational requirements. |
変更による影響
NOCが2021年バージョンに変わっても、必要な学歴や経歴は変わらないことから、ほとんどの永住権申請者や一時就労ビザ申請者には影響がないと思われます。ですが、新しいNOCシステムで経歴が見直される職種もあるため、今までより有利になる申請者、逆に不利になる申請者も出てくると思われます。
現時点では、申請者にどのような影響を及ぼすのか明確にはなっていません。今後永住権や就労ビザを申請する予定の方や、移民コンサルタントや移民弁護士などの関係者は、カナダ移民局(IRCC)と労働省(ESDC)のさらなる発表を待つ必要があります。
NOC 2016年版とNOC 2021年版の比較
下記のカナダ政府ウェブサイトには、2016年版NOCと2021年版NOCの対比表が掲載されています。
https://www.statcan.gc.ca/en/statistical-programs/document/noc2016v1_3-noc2021v1_0
以下は、現在の4つのスキルレベルが、新しい6つのTEERグループにどのようにカテゴリー分けされるかを示した表です。(参照:CIC News)
* TEERシステム導入の背景
カナダ統計局は、現在のスキルレベル分けをTEERシステムに変更する主な理由を2つ説明しています。まず1つ目は、TEERシステムにより、職業別に必要とされる学歴や経歴がより明確になるということ。
2つ目は現在のスキルレベル分けでは、スキルドワークの職種とそうでない職種を人為的にカテゴリー分けしてしまっているということ。TEERシステムを導入することで、それぞれの職種において必要とされるスキルや経歴を、今より理解しやすくなることが期待されるということのようです。
政府からの正式発表をお待ちください
ビザJPカナダでは、政府から正式に導入の発表があってから「ニュース」としてウエブサイトに掲載する予定です。また、それまでの間はまだ<予告>であって決定ではないと政府が言っていますので、皆様へのご案内はこのページをご覧いただくにとどめたいと思います。
これ以上の「予想で何か言う」ことは、混乱を来す恐れがあるので、現在のところは控えさせていただきますね。政府の正式発表を待ちましょう。